オーダー家具 大辞典
―夢広がるオーダー家具のある暮らし―

知っておきたいオーダー家具のこと

オーダー家具の耐用年数

オーダー家具の耐用年数は、使用頻度にもよりますが、おおよそ20~30年以上になります。無垢材のオーダー家具の場合は、メンテナンス次第で親子何代かにわたって使用することも可能です。

しかし、近年の主流である『化粧合板』をメインに製作すると、残念ながら何世代かで使い続けることはできません。それでも20~30年以上使い続けられるという点では、製品としては比較的長持ちする方かと思います。

化粧合板においては、20~30年以上の対応年数を全うする為には、しっかりと『加工』されていることが条件となります。使用する化粧合板の種類や加工方法によって、耐用年数は、大きく変わってくるのです。

規格化されていないオーダー家具は、材料によって金額が変わります。また、加工も機械と人の手では、仕上がりに差が出てきます。

価格重視で数年間使用出来れば良いという場合は、あまり耐用年数を気にしなくて良いと思います。しかし、「お気に入りの家具をなるべく長く使いたい」という場合は適材を使用した適切な加工が必要になります。

私は職業柄色々な工場の家具を見てきましたが、店舗などでは通用してもエンドユーザー向けのオーダー家具では通用しない工場もあります。また、作り手側にも面倒な工程(手間のかかる)を仕上げる力量が必要とされるので、トータルのバランスが必要です。

つまり、オーダー家具は発注する先によって耐用年数や使い心地が変わってくるのです。

納品までの期間はどれくらい?

オーダー家具は、受注生産のため、製作期間は通常1か月ほどかかります。冬から春先の繁忙期には、更に1週間ほどかかる場合があります。例年、この時期は引っ越しシーズンと各企業の決算等とも重なり引き渡し物件が増えます。とにかくこの時期は、メーカーも工場も多忙を極めることになります。

また、家具を発注するまでの打ち合わせ期間が、短くて1~2週間、長いお客様とは数か月に及ぶこともあります。オーダー家具は、一旦製作に入ると変更や作り直しが難しい商品です。見切り発車にはならないよう、納得するまで時間をかけて打ち合わせをすることが必要です。

製作後には施工が必要になりますが、施工日はどうしても土日・祝日から日程が埋まってしまう傾向にあります。当店でも納品件数の約半分が土日・祝日で占められています。どうしても引っ越し前などの決められた期日まで家具が必要な場合には、見積り依頼の段階から要望を伝えておく必要があります。

ただ注意をしないといけないのが、納期を優先するあまり、相場よりも高い業者やスキルの低い業者に依頼をするハメに陥らないということです。しっかりとリサーチした上で、場合によっては「多少は待ってみるか」と、ある程度のゆとりは持ったほうがトータルでは満足できる家具が仕上がるかと思います。

当店でも普段の見積りや打合せのなかで、結構な割合での短納期案件があるのですが、あらゆる方向で調整をして、なるべく希望納期に間に合うよう、心がけています。

納期は価格や品質と同様、重要な条件なので、一旦約束をした納期は特殊な事情が無い限り遅らせることはありません。しかし、製作側からのワガママな本音を言えば、家具は納品されてからが本当のお付き合いです。打ち合わせや待つことさえも、オーダー家具生活の楽しみの工程として受け入れていただけると幸いです。

保証期間はどれくらい?

保証期間は、各業者によってマチマチですが、納品後6か月~2年くらいに設定されていることが多いかと思います。ちなみに、オーダー家具に使用される材料や金物のメーカー保証期間も同じくらいです。

どの製品でもそうですが、保証期間が過ぎてからが不具合の発生する可能性が増えてきます。ただ、オーダー家具の場合は、不具合が発生したとしてもメンテナンスをすることにより、元通り使用できるようになります。

弊社でのメンテナンス依頼の内容は、下記のようなものになります。

  • ①壁と家具の隙間を埋めるための充填剤(コーキング・シリコン)の切れ、縮み
  • ②金物(丁番やレール)の初期不良やがたつき、緩み
  • ③納品後、扉や本体に傷が見つかった
  • ④誤っての破損(固い物をぶつけた、落とした。お子様が扉や引出しの上に乗ってしまったなど)

弊社では、製品代の支払いは後払いとなっています。万一、後で傷が見つかった場合でも、交換・適した補修をし、お客様に納得していただいてからの支払いとなります。傷や不具合に関して逃げるということはしませんし、最後まで責任を持って対応しています。

①、②については軽微なメンテナンスで済みますので基本的には金額発生のないよう無償で動いています。④については、部品代はお客様に負担をして頂くことにはなりますが、交換の工賃はなるべく金額が発生しないよう、調整をしています。

当店では、当初は保証期間をどれくらいに設定をするか悩みました。これまで大がかりなメンテナンスはほぼ皆無であり、メンテナンスが発生しても軽微なものが大半を占めることから、あえて保証期間を設けないスタンスにしました。

保証期間を設けないということは、製作側の自信の表れでもあります。保証期間やメンテナンスについても金額同様、見積りの段階で各社のスタンスを確認しておくと良いでしょう。

施工時間と施工方法

オーダー家具はテーブルや椅子、小型のTV台など置き家具として使用できるものと食器棚や壁面収納、本棚等取付工事が必要なアイテムがあります。

壁に対して適切な固定をすることは、オーダー家具のメリットの一つである耐震性に優れているという点に繋がってきます。

また、マンションではビスを打ってはいけない壁(共有壁や躯体)があったり、賃貸物件でもビス止めができない場合が多くあります。ビス止めできない場合は、家具を天井にアジャスターなどの金物で強固に突っ張って止める方法などがあります。見積りや打ち合わせの段階で固定方法を確認しておくと良いでしょう。

余談ですが、マンションでは家具の納品、施工に管理事務所の許可が必要な場合があります。申請時に『家具工事』と伝えると、リフォーム等の規模の大きい工事と受け止められ、掲示板に貼り紙をしたり、隣人(隣や上下階)の許可が必要となります。あらかじめの報告が必要な場合は、『家具の搬入、組立』と申請してもらった方が面倒な手続きなく進める事ができる場合が多いのでお勧めです。

それと、施工箇所の壁に付いては『補強は必要ですか』という問い合わせをいただくことがあります。壁の補強については、オプション会で勧められたり、補強をしないと家具を設置できないと説明される場合が多いようです。実際には平面図などで確認が可能ですが、壁補強なしのデフォルトの状態で設置可能な場合が多いです。

共有壁や躯体に家具を固定しなければいけない場合や、壁の奥側がエレベーター部分であったりする場合は、補強やフカシ壁の造作が必要な場合もあります。ですが、家具の形状で対応できたり、壁内部にきちんと間柱(木軸や軽量鉄骨)があれば十分な強度で施工が可能です。補強工事を申し込む前には、できれば相談をしてもらいたい箇所です。

主なアイテムの施工時間は、下記の通りです。

  • 食器棚:4~7時間程
  • 壁面収納 :6~8時間程度
  • 本棚:3~6時間程度
  • 吊戸棚:1~3時間程度

上記はあくまでも目安の時間です。ボリュームや施工の複雑さ、職人のスキルで施工時間は変わってきます。また、納品当日に引越し屋などとバッティングし、搬入に時間が掛かってしまう事も考えられます。時間には余裕を見ておいた方が良いでしょう。

施工方法としては、何ユニットかに分割して製作し、現場でジョイントをしながら固定、仕上げをしていくイメージです。また、特に本棚のように扉が付かないような家具では、ジョイント同士の部材のダブり(無駄な重なり)を出したくないので、各部材を部屋内で組立をしながら施工する場合もあります。

いずれも待ちに待った家具が組上がっていく過程を眺めることは楽しい時間です。時間のある場合は、見学するのも面白いでしょう。私も施工をする機会がありますが、お客様の嬉しそうな顔を見たり、喜んでいる場面に立ち会えることは幸せな時間です。

改めて、この仕事の遣り甲斐を感じる時間でもあります。

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