オーダー家具 大辞典
―夢広がるオーダー家具のある暮らし―

最近の優れた金物など

ここでは、最近の優れた金物について触れてみます。オーダー家具には、多種多様の金物が使用されています。適材適所で使い分けをしますが、金物は使い心地やコストを決める要因にもなります。

家具を安全に快適に使用する為の金物を簡単に紹介しますので、見積りやプランの参考にして頂ければと思います。

(1)耐震ラッチ

このご時世、この金物は外せません。地震で建物が揺れている間、扉をロックしてくれる金物です。当店では目線より上の開き扉には標準でセットしています。目線より下の扉でも要望があれば取付をしています。

通常、開き扉に付くタイプが主流ですが、引出しや引き戸に対応した耐震ラッチもあります。特にマンションに住んでいる方からは、「後付で既存の家具やクローゼット等の扉にも安心の為に付けたい」と相談を頻繁に受けます。

現地確認の上になりますが、対応できる場合が多いので、気になる方は家具と一緒に耐震ラッチの相談を各業者にしてみると良いかと思います。

耐震ラッチ 耐震ラッチ

(2)システムレール

特に食器棚に使用されるシステムレールです。メーカーにより性能は異なりますが、当店で使用しているのはドイツのハーフェレ社製のシステムレールです。耐荷重が1杯あたり40キロもあり、必要な場合は重量用(70キロ)も選べます。

人気のソフトクローズと完全スライド(引出しボックスをほぼ完全に手前まで引き出せる)も標準なので使い勝手は快適です。

コストを下げる為、ソフトクローズや完全スライドをオプションにしているところもあるのですが、長く使う意味でもこの2つは価値ある機能なのでできれば押さえておきたいところです。当店ではシステムレールは食器棚には標準ですが、他のアイテムではオプションとなります。

完全スライドシステムレール 完全スライドシステムレール

(3)ダンパー付丁番

この金物は扉に使用する金物ですが、扉も途中からゆっくりと閉まるソフトクローズの金物が主流です。当店ではすべての扉に標準で付けています。(ただしプッシュオープン扉、リフトアップ扉、収納扉には使用不可です。)

こちらもコストを下げる為、ダンパー付丁番(ソフトクローズ)をオプションとしている業者もありますが、今どき“バタン、バタン”と閉まる扉はナンセンス。やはりオーダーの家具なのでこの金物も押さえておきたいところです。

ダンパー付丁番 ダンパー付丁番

(4)収納扉用金物

当店では特に食器棚に組み込む場合が多いです。開いた扉を、家具本体に収納することができるアイテムです。

収納扉用金物

家電やダストボックスを扉の中に隠してしまいたい。または普段は扉を空けっ放しで使用し来客の際、扉を閉めて隠したい場合などに対応できます。

開いた扉を収納するタイプ(垂直収納)と、上に持ち上げた扉を収納するタイプ(水平収納)があり、用途に応じ、使い分けをしています。ただし、扉を家具本体に収納する為、有効寸法が小さくなったり他の扉とラインが揃わなかったり等、使用するにあたってはいくつかの検証が必要になります。

(5)マグネットキー

この金物は扉や引出しに使用する鍵です。特に小さなお子様が間違って扉や引出しを開けて手を挟んだりしないよう、鍵をかけておきたい場合に使用します。

マグネットキー ロック本体

閉じる時 開ける時 スガツネ工業 ホームページより転用

特徴は扉、引出し内部に付けた鍵がマグネットの本体を近づけると解除になるところです。これならば、あからさまに鍵穴などが見えないので外観を損ねることもなく、必要な箇所に鍵をかけておくことができます。多い方は十数か所に設置をしたりします。ただし、本体キーを失くしたりお子様に見つかるとメリットは半減するので注意が必要です。

(6)間接照明

こちらは金物ではないのですが紹介したいアイテムです。P13の『オーダー家具だからできるこんなこと』でも説明をしましたが、間接照明を家具に取り入れる要望も多く、LEDの家具用の製品も普及しています。

空間や壁(エコカラットなど)を照らしたり対象物(食器やテレビ)を照らす場合で、適した照明が変わってきます。主に、ダウンライトとスリムラインとテープライトを使い分けています。

間接照明

照明の色は、電球色と昼白色の2種から選べるのですが、電球色の方が人気があります。調光できるタイプもあり、選択肢は多いのですが、家具用LEDは価格的にはまだ少々高いのが現状です。

間接照明

その他、家具用の金物は紹介しきれない種類があり、日進月歩で高性能なものがたくさん出てきています。興味のある方はビックサイトなどで行われる展示会(Japan Home Building Showなど)やメーカーのショールームで見学、体験をするのもおススメです。

■おすすめのメーカーのショールーム

(7)カラーガラス

こちらも金物ではないのですが紹介したいアイテムです。旭硝子(株)の製品で21色のラインナップがあります。

■旭化成 カラーガラス

バリエーション 旭化成 ホームページより転用

  • ピュアホワイト使用例ピュアホワイト使用例
  • バリエーションクラシックブラック使用例

色付きのガラスなのですが透けないので家具に綺麗に貼り付けることができます。思いのほか、家具にガラスを貼りたいというニーズは多く、このガラスは重宝しています。赤外線は通すのでリモコン対応可能ですが、強化ガラスではないので耐荷重の検証が必要なのと価格が高いのが少々ネックとなりますが、検討の価値はありです。

よく使用される素材

ここではオーダー家具によく使用される素材を紹介します。

(1)メラミン化粧合板

化粧合板の中では"耐久性"、"耐熱性"に優れています。扉や天板の他、強度や耐熱を重視する箇所に使用します。コストは高めなのですが扉、天板の単価として計算すると価格的にも充分見合う素材です。色や柄の種類も豊富で最近のメラミン化粧合板は質感もあがり、一見すると天然木と見分けのつかない精巧さがあります。

(2)ポリエステル化粧合板

一般的には"ポリ板"、"ポリ合板"と呼ばれています。合板基材(ベニヤ)の上にポリエステル樹脂層で仕上げをしていますので、こちらも質感的には優れています。コストパフォーマンスに優れていますので、メラミン化粧合板と使い分けをして、トータルコストを調整しています。

(3)オレフィン化粧合板

非塩ビ系(燃やしても有害物質が殆どでない)のシートを使用した化粧合板です。建具や枠、家具に幅広く使用されています。質感は高いのですが"メラミン化粧合板"や"ポリエステル化粧合板"と比べると、耐久性と耐熱性に劣るので特に天板に使用する際には検討が必要です。

天板上に何を置くか、頻繁に動かしたりするのか、作業をするのか等を視野に入れ、必要な場合は別の素材を取り入れると良いかと思います。

(4)天然木突板

天然の木を薄くスライスし合板基材(ベニヤ)に貼り付けた化粧合板です。無垢材は高価な上、反りやネジレなどの品質保持が難しいのに対して天然木突板は安定しています。表面が天然木なので質感には優れますが、それでも他の化粧合板に比べると高価です。樹種(木の種類)や塗装の仕上げ具合により金額が変わってきます。

最近はメラミンやポリ板の質感が上がってきたので天然木突板を選ばれる方は減ってきていますが、塗装仕上げという一手間をかけるだけあって本質的な質感はナンバー1です。

(5)プリント化粧合板

基材合板(ベニヤ)に強化紙を貼った化粧合板です。化粧合板のなかでは一番安価なのですが"傷に弱い"というデメリットがあるので、当店では通常、使用していません。ただ『ポリエステル化粧合板』に比べると、化粧合板独特の臭い(スチレン臭)を抑えることができるので、強度よりも臭い重視の場合、検討することがあります。

化粧合板独特の臭い(スチレン臭)は新車の車と同じで数か月たてば落ち着きます。"耐久性"を重視した方がより永く家具を使えるメリットがあるので、単にコストを下げる為使用するのには注意が必要です。

以上がオーダー家具によく使用される素材の説明になります。これらのメリット、デメリットを押え、適材適所で材料を選ぶのがトータルで満足できる家具造りに繋がってきます。

ここでちょっと・・・

余談ですが、「もう少し安くする為に材料で調整することはできますか。」という質問を頂くことがあります。私の持論では材料のグレードを下げることはおススメしません。家具を永く使って頂く為には適した材を選ぶことが必要だからです。どうしても値引き調整が必要な場合でも材料や金物のグレードを下げたことはありません。そのような時は工場での手間工賃を見つめ直し、できる範囲での調整をさせて頂いております。

本来、値引きや材料費の値上がり、工期の短縮等のリスクは平等に負担をするべきなのですが、実際現場で作業をする人や製作側だけに廻ってきがちです。私はそのような会社をたくさん見てきましたし、お付き合いもしてきました。

現在は自社で直接エンドユーザー様と取引させて頂く事ができ、その心配はなくなりましたが、技術と情熱をもちながらあえいでいる工場が沢山あるかと思います。

これからの私の半生はオーダー家具を普及させることに全力で取り組み、技術と情熱をもった工場と提携をし、ユーザーも作り手もお互いが幸せになれる様な強固な土台を造り上げていきたいと思っています。

納品時のお客様の喜んでいる顔は、それが成功することを物語っており、確かな手応えを掴みかけています。

オーダー家具 大辞典 PDF版はこちら