今日はオーダー家具の引出しの有効寸法のお話です。オーダー家具で使用する金物は沢山の種類があり、用途によって使い分けをしています。オーダー食器棚で使用しているシステムレールを例に
引出の特徴をまとめました。
メリット
真上から物の出し入れができるので作業性がいい。
ソフト(セルフ)クローズで操作性がいい。
耐荷重が1杯当たり40キロあるので安心。
完全スライドなので引き出しボックスを手前まで引き出せる。
お手入れが楽。
デメリット
扉に比べるとコストが高い。
扉収納に比べると収納力が低い。
デメリットの“コストが高い”ことを差し引いても引き出しはメリットが目立ち、収納のメインに検討する方が多いのです。
GNASHのオーダー食器棚のオプションランキングでも引き出しの追加は人気ナンバーワンです。ただ、もうひとつのデメリット「扉収納に比べると収納力が低い」ことは意外と知られていない気がします。
引出しは家具の部材や金物の厚み等の影響で、横幅で10センチ、高さで約5センチ、奥行きで2センチ以上の空間を小さくしてしまう特性があります。(システムレールの場合)
例えば、下の画像の引出しは前板(見た目)の幅が約40センチです。
しかし、実際に中で使用できる有効寸法は10センチ小さくなり、30センチが有効幅となります。
同じような理由で高さと奥行もそれぞれが小さくなります。引出の場合は見た目の外寸法よりも、実際の有効寸法を考慮していくことが大切です。
ここを把握することにより、オーダー家具のメリットである、『ミリ単位』での調整が活きてきます。奥行は金物(レール)のサイズで有効が決まるので調整はできませんが、幅と高さは任意に調整できます。
家具のデザインは『ライン合わせ』が基本なので、隣のユニット(箱)とラインを合わせると引出しの幅と高さは決まってしまいます。『ライン合わせ』のデザインで、必要な有効寸法が確保されていれば問題ありませんが、有効が足りない場合もあります。
デザインを重視するか、収納量を優先するかは悩むところですが、時には引き出しの有効寸法を考慮して、デザインを考え直すこともあります。また必要な有効寸法に僅かに届かないことも結構ありますが、その場合は部材の厚みを調整して数ミリを稼ぐことで解決できたりもします。
まさにミリ単位の攻防ですが、そんな納まりを考えるのは結構楽しいものです。
今回は意外と知られていない『引出の有効寸法』の話でしたが、引出しにはまだまだお話できるネタが沢山あります。またの機会に順次紹介をさせて頂きたいと思います。今日も最後まで目を通して頂き、有難うございました。オーダー家具専門店GNASH(ナッシュ)の内山でした。