スライドイン扉は、生活感を隠したい時には扉で隠したり、使用頻度が高いものを収納している場合は扉を開けっ放しにしておくこともできる便利なアイテムです。
そんな人気のオプション、スライドイン扉にもデメリットがあります。家具の設置後に「イメージと違った!」ということにならないように、デメリットについても解説させていただきます。
スライドイン扉のデメリット
有効寸法が小さくなってしまう。
スライドイン扉のデメリットとしてまず考慮しなければいけない点が、『有効横幅が小さくなる』ことです。具体的に言いますと、スライドイン扉は開いた扉を家具本体に収納する為の扉収納スペースが1枚に付き約5センチ必要となります。
つまり、扉2枚で使用する場合は約10センチ、有効の横幅が小さくなってしまうのです。
スライドイン扉は観音開きで使用する事が多いのですが、扉2枚分の収納スペースとして約10センチの横幅が取られます。横幅をシビアに設定していく場合、この10センチのロスは結構なもの。
だったらと、他の部分を削ってスライドインのユニット幅を大きくすれば解決かと言えば次のデメリットと関連してきます。
扉の引き残しが発生する場合がある。
スライドイン扉は専用の金物を使用し、扉を家具本体に収納をします。その中でも重要な要素が、扉の収納量を左右する『レール』の長さです。
このレールには何段階かの(いつも使用しているレールでは5段階)長さの規格があり、家具の奥行に合わせた選定をしています。
扉をどれだけ家具内部に収納できるのかはこのレールの長さで決まります。長いレールを使用できれば扉を沢山収納できるのですが、間取り等の条件上、難しい場合があります。
こちらの家具の奥行は475ミリ。一般的な食器棚の奥行は450ミリなのでやや大きい感じです。
事例の扉の幅は425ミリですが、金物の特性上、約150ミリの扉の引き残しが発生します。
仮に家具の奥行が約600ミリ取れていた場合では、扉を全部収納できるレールを選定できます。
扉の引き残しは家具の奥行と扉の幅で決まるのですが、先のデメリットのように、有効横幅が小さくなる分、家具の横幅を増やすことでの対応は、扉幅も大きくなるので引き残しが増えるリスクがあります。
スライドイン扉を検討する際には、有効横幅と引き残しのバランスを調整をすることも重要です。
過去事例では、扉の引き残しは『ゼロ』にならない案件が多かったのが現状ですが、『安全面』と『使い勝手面』の2点は検証しておく必要があります。
扉のラインにズレが生じる。
スライドイン扉は扉を家具内部に収納する特性上、他の扉とは違う金物を使用します。その為、スライドイン扉と他の扉とでは扉の隙間(ライン)が変わってきます。
こちらの事例は、通常使用している国産メーカーの金物によるスライドイン扉です。画像の中段がスライドイン扉ですが、特に縦方向の白い部分が目立ちます。
スライドイン扉は特に縦方向の隙間が大きくなるので、他の扉とはこの様なラインのズレが生じます。
本体と扉の色によっては気になる(目立つ)場合があるので注意が必要です。
しかし、このズレですが、去年からは他メーカーの金物(海外製)も使用する様になり、ズレを解消できることが分かりました!
中段の左からの扉4枚がスライドイン扉ですが、ラインは他の扉と揃っています。
このメーカーの金物は国産メーカーでは無理だったスライドイン扉の『プッシュオープン』も可能な金物です。
ただ、金物代は通常使用している国産メーカー品の軽く3倍以上。結構な差額が発生します。
ラインのズレが生じないメリットの代償としてのコストUPは同時にデメリットにもなる、超コダワリ仕様の場合の最終手段的な金物です。
以前この金物を使用した際は国内在庫が無く、更に航空運賃までかかったハイエンドな金物でした・・・。
まとめ
スライドイン扉は収納物を見せながら使用し、隠したい時は隠せる便利なアイテムです。しかしながら、有効横幅が減ったり、引き残しがあったり、ラインが揃わなかったり(揃える場合は更にコストが掛かります。)とデメリットもハッキリとしているアイテムです。
それでも、スライドイン扉が人気のオプションなのはデメリットよりも、家具をスッキリと見せたい、生活感を消したいというコダワリが勝るからだと感じます。
『スライドイン扉』のお話をさせて頂きましたが参考にして頂けますと幸いです。
最後まで目を通して頂きまして有難うございます。
オーダー家具専門店、GNASH(ナッシュ)の内山でした。