オーダー家具は、通常壁にビスなどを使用して固定をします。特に『吊り戸棚』に関しては安心して使用する為に適切な固定が必要となってきます。この固定がしっかりできてこそ、耐震性を高めたり、安心してたくさん収納をすることができます。今回はそんな吊り戸棚の固定方法を、納品させて頂いた食器棚を元に説明させて頂きます。納品場所は国分寺市のマンションでした。
施工前の様子
食器棚施工前の壁の様子です。壁の右上にはマンション特有の梁があります。
施工前の準備〜下地探し〜
吊り戸棚を固定する前に先ずは『下地』を探します。
マンションの場合は、壁の奥に軽量鉄骨の柱が、おおよそ25~30センチ間隔で立っています。
戸建て(木造)の場合は、木の柱が壁の奥に立っていますが、家具はこの『柱』に向かってビスで固定をします。このビスで固定できる柱を『下地』と呼んでいます。
今回はマンションなので軽量鉄骨の下地、画像は磁石を使って下地の位置を特定している所です。
吊戸棚の固定〜背面壁〜
吊り戸棚を下地に向かって上下部分をビスで固定します。
今回は下地が壁奥に7か所(7本)あったので、上下で14か所の固定をしています。吊り戸棚は背面壁メインで固定をするので、なるべく多くの箇所に固定をするように心掛けます。
吊り戸棚の固定〜天井〜
更に天井にも下地がある場合は、やはりビスにて固定をします。
下地の向き(入っている方向)や吊り戸棚の奥行によっては、固定ができない場合もありますが、止められる条件が揃えば天井にも固定をします。
化粧キャップで仕上げ
ビス固定した後はビス頭に『化粧キャップ』を付けて目立たないようにします。
今回の場合は、背面に14か所、天井には4か所固定することができました!
完成!
吊り戸棚の幅は172センチ、高さは75センチです。
これだけのサイズなので相当量の収納力があります。
吊り戸棚の耐荷重は正確に数値で出すことが難しいのですが、『食器類をびっちりとたくさん収納しても問題の無いレベル』と表現をしています。耐震性もバッチリです!
梁下収納
今回は右上の梁の幅が17センチと大き目だったので、この部分も収納スペースとして使用できるようにしました。
梁下収納 内部
有効幅は13センチあります。可動棚を付ければここも使い勝手の良い、立派な収納スペースとなります!
まとめ
オーダー家具は固定をしないで置き家具として使用するアイテムもありますが(テーブルやTV台など)、大半は壁に対して固定をして使用をします。家具をビスで固定するということは、壁に対して傷を付ける行為となります。
しかし、オーダー家具は壁にきちんと固定してこそ強味を発揮することができると思っています。システムキッチンも下足入れも建具も元々壁に対して固定がされています。
オーダー家具も固定をすることで建物の一部、設備のひとつとみなすことで解釈をして貰っています。
既製品の様に簡単に移動したり、外したりできないのはデメリットにはなりますが、固定してこそ得られるメリットの方が多いと感じています。
ただし、家具のビス固定は全ての壁で出来る訳ではありません。特にマンションでは、躯体壁や共有壁、背面に引き戸があったりと、ビス固定ができない場合もあります。
そのような時は、別の対応方法があるので都度、相談をさせて頂いております。
こちらの記事をご参考ください。
ビス固定できる壁とできない壁、固定方法は違えども行きつくところは同じです。
今回は吊り戸棚の固定方法のお話でした。参考にして頂けますと幸いです。
最後まで目を通して頂きまして有難うございます。
オーダー家具専門店、GNASH(ナッシュ)の内山でした。